「大学入学共通テスト」の基礎知識

センター試験から「大学入学共通テスト」へ

現高校2年生が受験する2020年度から、大学入試の枠組みが大きく変わります。いちばん大きな変更点は、センター試験に代わって「大学入学共通テスト」が実施されることです。この「共通テスト」について、どんな試験なのか、どの点に注意すればよいのか、詳しく見てみましょう。

「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストスライド資料」(2019年7月発表)、「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト出題教科・科目の出題方法等」(2019年6月発表)、「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針」(2019年6月発表)に基づいて作成しています。

センター試験と共通テストの違い

共通テストでこれまでと大きく変わる点は次の3つです。

共通テストでの主な変更点

変更点① 国語(現代文)と数学Ⅰの一部で記述式問題が導入される

 これまではすべてマーク式問題

変更点② 英語で「リーディング:リスニング」の配点が「1:1」になる

 これまでは「筆記:リスニング」で「4:1」

変更点③ 英語で民間の資格・検定試験も活用される

 英検やGTECなど。すでに活用している大学もあるが、国公立大学での活用が大幅に拡大

変更点① 記述式問題の導入

センター試験はすべてマーク式の問題でしたが、共通テストでは国語(現代文)と数学Ⅰの範囲で記述式が導入されます。出題科目で言うと『国語』「数学Ⅰ」『数学Ⅰ・A』です。それぞれの科目で小問3問ずつ出題されます。『数学Ⅱ・B』を含むそのほかの科目は、引き続きすべてマーク式問題のみで出題されます。

数学の記述式問題は文章を書かせるのではなく、数式などを記述させる形式です。マーク式の問題とあわせて配点されますので、それほど記述式問題を意識することもないでしょう。試験時間はセンター試験の60分から70分に拡大されます。

一方、国語はマーク式とは別の大問で出題されます。配点もマーク式とは別枠で、段階表示で評価されます。大学は段階別評価を得点に換算するなどして選抜に利用します(大学によって取り扱いは異なります)。試験時間は80分から100分に拡大されます。

変更点② 「リスニング:リーディング」の配点

共通テストでは英語の「筆記」が「リーディング」に改称され、「読むこと」に特化した内容になります。また、センター試験では「筆記200点・リスニング50点」の「4:1」だった配点が、英語4技能をバランスよく育成するという観点から、「リーディング100点・リスニング100点」の「1:1」の配点に変更されます。これまでと比べるとリスニングの比重が大きくなりますので注意が必要です。ただし、試験時間はリーディング80分、リスニング60分(解答時間は30分)でセンター試験と同じです。

また、センター試験のリスニングでは、問題音声はすべて2回ずつ読み上げられましたが、共通テストでは実際のコミュニケーションを想定して、「1回読み」の問題も出題されます。

※英語4技能:読む(リーディング)、聞く(リスニング)、話す(スピーキング)、書く(ライティング)

変更点③ 民間の資格・検定試験の活用

共通テストの英語はリーディングとリスニングの2技能の出題ですが、入試でも英語4技能を評価するという目的で、英検やGTECなどの民間の資格・検定試験の活用を進めることになりました。国公立大学の多くが2020年度から、共通テストとあわせて民間の資格・検定試験を活用するようになります。大きな変更点ですので、さらに掘り下げていきましょう。

資格・検定試験の「成績提供システム」ついて理解しよう

入試で民間の資格・検定試験を活用する大学はこれまでもありましたが、これをさらに拡大させるために、「大学入試英語成績提供システム」が導入されます。受験生の資格・検定試験の成績は成績提供システムに登録され、出願した大学それぞれに提供されることになります。この仕組みをしっかり理解しておきましょう。

登録できるのは3年生の4~12月に受検する2回までの成績

成績提供システムに参加が認められた資格・検定試験は次の6種類です。

成績提供システムに参加する6種類の資格・検定試験

  • GTEC
  • TEAP
  • 英検
  • ケンブリッジ英検
  • TOEFL
  • IELTS

成績提供システムに登録できるのは、これらの試験のうち、受験年度の4~12月に受検した2回までの成績です(2回受検する場合、同じ試験でも別の試験でもよい)。例外措置はありますが、2年生までにいずれかの試験を受検していたとしても、その成績は利用できません。3年生に改めて受検する必要があります。

受験の流れ(例:国立大学の一般選抜を受験する場合)

2019年度まで   大学入試センター試験 各大学の個別学力検査
  4~12月 1月 2~3月
2020年度から

民間の資格・検定試験
事前に申込みをした2回までの成績が提供される

大学入学共通テスト 各大学の個別学力検査

資格・検定試験の活用方法は大学によってさまざま

共通テストを課す国公立大学のほとんどが、資格・検定試験の成績を入試に活用する予定です。ただし、その活用方法は大学・学部・学科ごとにさまざまです。受験生は、受験する可能性のある大学の活用方法を調べて確認しておく必要があります。

国立大学の一般選抜での活用方法は、次の4パターンに大別できます。

国立大学一般選抜における資格・検定試験の活用方法

①出願資格として利用

 例:「CEFRのA2レベル以上」:大阪大・九州大・東京外国語大など
   「CEFRのA2レベル以上または高校等の証明など」:東京大・名古屋大・京都大など
   「CEFRのA1レベル以上」:金沢大・熊本大など

②点数化して加点

 例:「CEFRのレベルに応じて加点」:筑波大・東京学芸大など

③出願資格と点数化して加点の両方

 例:「CEFRのA2レベル以上、CEFRのレベルに応じて加点」:鳥取大(医学部医学科)
   「認定試験の受験を課す、CEFRのレベルに応じて加点」:静岡大学

④活用しない

   北海道大・東北大・京都工芸繊維大

※その他

    「みなし満点」:広島大
    「高得点利用」:富山大など

2019年8月時点。最新の情報を各大学のウェブサイトなどで必ず確認してください。

CEFR(セファール)について知っておこう

6つの認定試験は試験内容や目的がそれぞれ異なります。その異なる試験の成績を比較し、入試で利用するために、CEFRという国際指標が用いられます。たとえば「CEFRのA2レベル以上」を目指すのであれば、英検であれば準2級で1,700点以上、GTECであれば690点以上をとればよいことになります。

英検で2級を受検した場合、1728点を下回るとCEFR算出外となり、CEFRが取得できないので注意が必要です。

各資格・検定試験のCEFRとの対照表

文部科学省(2019年7月)資料より作成

まずは「共通ID」を取得

成績提供システムを利用するために、受験生は資格・検定試験の受検申込みをする前に、成績提供システムの「共通ID」を取得しておく必要があります。資格・検定試験を申込む際に、共通ID記入欄に自分のIDを記入すれば、受験年度の4~12月の2回までの成績(CEFRレベルやスコアなど)が登録され、大学に提供されます。

共通IDの申込み受付は高校2年生の11月から始まります。在学生の場合は学校を経由して申込みます。

資格・検定試験のスケジュールを確認しよう

資格・検定試験の受検期間は4~12月ですが、受検する時期によってその成績が大学に提供される時期が異なります。総合型選抜(現AO入試)や学校推薦型選抜(現推薦入試)など試験日が早い方式を受験する場合は、いつまでに資格・検定試験を受検すればよいのか確認しておく必要があります。

私立大学の入試も変わる

私立大学でも、2020年度から共通テストや民間の資格・検定試験を活用するとすでに発表している大学があります。たとえば立教大学は、一般入試の英語で独自試験をやめ、民間の資格・検定試験を活用すると発表しました。

私立大学の場合は大学によって利用方法や入試方式が大きく異なります。利用できる資格・検定試験の種類が違う場合もありますので、それぞれの大学の情報をよく確認する必要があります。

資格・検定試験の成績を、成績提供システムを介さずに独自回収するケースも見られます。その場合、2年生のときに受検した成績が有効だったり受検回数に制限がなかったりします。

情報の確認が重要

2020年度からの受験生は、受験勉強だけでなく、志望校の共通テストと資格・検定試験の活用方法を確認したり、資格・検定試験の受検スケジュールを考えたりといった、別の「受験対策」が求められます。大学の活用方法や資格・検定試験の実施スケジュールは、各大学・各運営団体のウェブサイトなどで確認できます。まずは興味のある大学の入試情報を調べてみましょう。

共通テストQ&A

 共通テストでは浪人生のための移行措置はないのでしょうか?

 高校での履修内容が変わったわけではなく、出題科目や出題範囲もセンター試験と同じですので、浪人生のための移行措置はありません。

 受検する資格・検定試験によって、有利不利は出ないのでしょうか?

 問題の形式や場面設定などはそれぞれの試験で特徴がありますが、それらの異なる試験の成績を比較するために、CEFR(セファール)という国際指標が用いられます。

 高校2年生までに受検した資格・検定試験の成績は使えないのでしょうか?

 成績提供システムによって提供される成績は、高校3年生の4~12月に受検した試験です。例外措置はありますが、原則として高校2年生までに受検した成績は使えません。高校3年生の4~12月に改めて受検する必要があります。

※例外措置:高校2年時にCEFRレベルでB2以上の成績をあげ、離島・へき地に居住・通学しているか経済的配慮が必要と認められる場合など